ブログ

校長室

2023.03.18

令和4年度3学期終業式 学校長あいさつ

みなさん、おはようございます。今日で令和4年度を終業します。今年度もコロナの影響はありましたが、近校祭や修学旅行、芸術鑑賞といった大きな行事も何とか実施出来ましたし、みなさんとこうして対面でお話しできることを本当に嬉しく思っています。またコロナ禍にもかかわらず、クラブ活動や研究発表などでもみなさん、たくさんの素晴らしいの成果を上げてくれました。ダンス部はまた世界大会に出場してくれますし、文化部も運動部もそれぞれ本当によく頑張ってくれました。

さて例年私がみなさんにお願いしていることですが、年度の終わりに当たって、この1年間で自分がどのように成長したかを、ぜひ振り返ってほしいと思っています。そこでまず私が今年度、みなさんに式典や全校朝礼などでお話しした内容を振り返り、簡単に年度のまとめをしていきます。

まず1学期は始業式で、ロシアがウクライナに軍事侵攻して1か月以上が経ち、改めて「平和~Peace」について考える機会にしました。5月には所謂「五月病」の分析からポジティブ思考の大切さを考え、6月は「傘地蔵」と「ネズミの嫁入り」の昔話から、多角的なものの見方を学びました。そして終業式では「自分探しの旅」についてお話ししました。

2学期は、近校祭:文化祭のテーマ「i:想像を超えろ」Beyond Imaginationと吉田麻紗(あさ)さんが描いてくれたポスターについて取り上げました。また11月の創立記念日に関しては、竹内健先生から近畿大学についてお話ししてもらい、創設者の世耕弘一先生の魂に触れることが出来ました。12月に入ると今年の漢字に「戦」が選ばれたので、自分との戦いはStruggleだということを伝えました。

年が明けて3学期の始業式では、年末に実施したエンパワーメント・プログラムの体験から「好奇心を持つ」ことの大切さに触れ、1月末には高3生と一緒の最後の全校朝礼で、アントレプレナーシップ「起業家精神」について掘り下げました。この1年を振り返り、これらの話を自分にフィードバックさせ、さらに高いレベルを目指してほしいと思います。本校HP(ホームページ)の近校ブログ「校長室」にBN(バックナンバー)が載っているので、活用してください。

またちょうど1年前の昨年度の3学期終業式では、世界的なジャズ・ピアニストである上原ひろみさんの言葉を取り上げてお話ししたことを、2年生のみなさんは覚えていますか。(東京オリンピックの開会式でも演奏されていました。)彼女は、本当に音楽が大好きで「食べるように、眠るように、音楽を作り続ける」と話していました。そんな上原ひろみさんが、音楽を担当したアニメ映画「Blue Giant」が今、劇場で公開されています。

https://www.hiromiuehara.com/

少し話が飛びますが、一週間前の土曜日は本校中学3年生の義務教育修了式でした。私は卒業証書を全員に手渡した後、贈る言葉の中で「日本文化としてのマンガやアニメの素晴らしさ」について話しをしました。(詳しくはホームページの近校ブログを見てください。)それに関連するのですが、実はこのBlue Giantも漫画家の石塚真一さんによるジャズを題材とした漫画が原作なのです。

Blue Giantは高校生の主人公:宮本大がテナーサックスでジャズを演奏し、世界一になる夢をかなえようと成長していくストーリーで、マンガ大賞など数々の受賞歴を持つ大ヒット作です。話の中で大くんはサックスを吹き、ピアノやドラムスと一緒に演奏します。でもそれは漫画の絵の中で描かれているだけで、読んでいても実際には何も聞こえません。(もちろん映画版では、上原ひろみさんと共に超一流のプロの凄い演奏が聴けるのですが。)しかし不思議なことに、集中して漫画を読んでいると、頭の中で音楽が、大くんの吹く凄いサックスの音色が、ピアノのメロディーやドラムスのリズムが、聴こえてくるのです!

そこで私は日本人がどうしてこんなにも漫画を愛し、また芸術の域にまで高めることができたのかを考えてみました。思いついたのが「感受性と想像力」というキーワードです。私たちは漫画を読みながら、その場面を想像して、実際の体験のように頭の中で思い描くことができるのです。VRゴーグルがなくてもヴァーチャルリアリティを実感できる力が、私たち日本人には備わっている、というとちょっと大げさでしょうか?

ですから漫画を描く側も必然的にその力は高められますし、だからこそ日本人は海外の作家が追従できないような生き生きと美しい描写や、考えも及ばない世界観を生み出すことが出来るのだと思います。また読む側もそれをリアルに、そして繊細に感じ取ることが出来るというサイクルが生まれました。特に漫画の絵の中で「ぐぉ~っ!」とか「ヴァーン!」「ドドドォーッ!」などの擬音、そして絵だけの音楽を想像してください。見開きページに一言もセリフがなく、描かれた音だけで表現された絵の迫力とリアルさを。

さらに発信されたこの感覚は連鎖し、今や世界中の受け手が日本の芸術作品である漫画を体感出来るようになっています。そしてこの「感受性と想像力」は、実体験によってより高められ磨かれます。ですから生徒のみなさんも、いろいろな体験を経てこれらの力を高めてほしいと思います。これから始まるこの春休みという期間はその絶好のチャンスです。普段は宿題などの時間に追われてなかなか出来ないこと、じっくりと構えてチャレンジすることなど、ぜひ自分に合った感性を磨く期間にしてください。

今月は先週の中学校の修了式と今回の終業式の二回に亘り、漫画やアニメといった日本の文化について取り上げました。それではまた4月7日の始業式に、成長したみなさんとお会いするのを楽しみにしています。コロナウィルスやインフルエンザにも負けないよう、この春休みの間、元気で充実した生活を送ってください。
Aim for a Higher Level!

投稿者 : devadmin

|

校長室