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校長室

2024.03.09

令和5年度中学校義務教育修了式 学校長式辞「贈ることば」

今年の冬は暖冬とはいえ寒暖の差が激しい日々が続いています。しかし3月になって、近畿大学の校花である梅の花も見事に開花しました。美しく咲いた紅白の梅の花がみなさんの進学を祝ってくれています。改めて、中学校課程・義務教育を修了された第二十三期生のみなさん、おめでとうございます。みなさんには今一人ずつ卒業証書を渡しました。この中にはみなさんが友だちや先生方そして家族と過ごした近中での三年間の思い出がいっぱい詰まっています。

三年前、みなさんが入学したころは、まだ新型コロナウイルスの影響で、楽しいはずの様々な行事が延期や縮小になり、寂しい思いをした人もいると思います。しかし2年生の時には関東方面への修学旅行にも行くことが出来ましたし、文化祭もようやく今年度は盛大に開催出来ました。そういった行事の中で一緒に取り組んだ記憶は決して消えません。きっとみなさんのかけがえのない財産となるでしょう。

一方で今年の元日には能登半島地震が起こり、未だに避難所で不自由な生活をされている方も多くおられます。またグローバル社会でも、ロシアとウクライナの戦争や、イスラエル・パレスチナ問題など悲惨な情勢が日々報道されており、心が痛みます。でもそんな中でも、何事も前向きに、ポジティブに考えて、今自分の出来ることをしっかりと行うようにしてください。

先日ある情報雑誌を読んでいると興味深い記事が目に留まりました。それは大学のある先生が研究をなさっている学問についてです。みなさんは大学での研究というと、どんな勉強を思い浮かべますか。例えばお医者さんになろうとすれば医学の勉強、弁護士になりたければ法律の勉強などが考えられますよね。でも私が目にした記事の中で、その先生は「観光学」をご専門にされていました。つまり旅行をして様々な土地を観察したり見物をする、あの「観光」についての研究です。

そこから発展して、アニメの聖地巡礼の研究(アニメの背景を探し出してネットで配信し、それを見た人がそこへ行く、いわば情報社会の旅行行動の研究:情報誌より抜粋)をされているのです!そういう研究があることにも驚きましたし、さらに私がびっくりしたのは、その先生が今取り組んでおられるのが「ゾンビ」についての総合的研究「ゾンビ学」という点です。「ゾンビ学」とは「メディア・コンテンツにおいてゾンビの描写が時代によってどうかわるのかという研究:情報誌より抜粋」だそうです。

ここで私がみなさんにお話ししたいポイントは2つあります。まず、そんな「面白そうだけど、誰も考えもしなかった研究」があるんだ、という点。ですから、みなさんも今、何かに夢中になっていることがあれば、ぜひそれをただ楽しむだけではなく、とことんまで掘り下げて研究対象にまで高めてみてはどうか、ということです。

思い起こせば私がみなさんと同じ年齢の頃、マンガを読んだりSF映画を見ていると親から「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」と叱られたものでした。でもそんな「遊び=役に立たないこと」と言われるようなものから、大学の研究対象にまで広げることが出来るのです。これは当時叱られてばかりいた私にとっても大変興味深い事です。

もう一つ伝えたいのは、今みなさんが毎日の生活の中で学んでいることに無駄なことはない、という点です。アニメが好きで、ゾンビ映画が好きで、それらを日々観ながら楽しんでいたことから大学の研究に繋がっていくわけです。逆にみなさんが今、「これって、どんな意味があるの?」と思うような勉強でも、きっと将来役に立つ時が来ると私は信じています。ですから今はまだみなさんにとっては興味のない学習内容でも、頑張って取り組んでほしいと願っているのです。それが学校での勉強なのです。

因みに、先ほどお話しした「ゾンビ学」を研究されている岡本健先生は、近畿大学の総合社会学部にいらっしゃいます。もし今みなさんに興味を持ったり夢中になっているものがあり、それを周りの人たちがあまり理解してくれないとしても、自分がそのことに集中できる理由を探ったり、その先にある未来について考えを深めているのであれば、そしてその目的がみんなの幸せで明るい社会に繋がっていくのなら、私は全力でみなさんを応援したいと思います。

改めて本日ご臨席いただいた保護者の皆様に、お祝いとお礼を申し上げます。この三年間はまだまだコロナ禍で何かとご心配やご苦労も多かったでしょう。そんな中でも本校の教育にご理解とお力添えを賜りましたことを、本当に感謝いたします。有難うございました。高校へ進学したこの後も、引き続きご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

さあ、今日はみなさんの新しい「高等学校」というステージへのレベルアップの第一歩です。校訓にある「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人」になるように、みなさんそれぞれが個性を生かしながら、自信と誇りを持ち、4月からは高校生として頑張ってくれることを期待しています。
Aim for a Higher Level !

令和六年三月九日
近畿大学附属広島中学校東広島校
校長 橋本 晃一

投稿者 : devadmin

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