ご卒業に際して、私はみなさんに二つのことばを贈りたいと思います。ひとつ目は “Courage”(勇気)です。みなさんは明治から大正、昭和に至る激動の時代を駆け抜けた歴史上の人物、新渡戸稲造先生をご存じですね。彼が明治三十二年(1899年)に日本の精神文化や道徳教育のあり方を海外に紹介するために全文を英語で書いた “Bushido” ですが、その内容は百二十年経った今もまさにその副題通り “The Soul of Japan” といえる内容です。
新渡戸先生はこの “Bushido~Chapter 4” の中で、孔子の「論語」を元に “Courage is doing what is right.” 「勇気とは正しいことをすることである。」と唱えています。私は本校を卒業していくみなさんへ、元号が明治から大正、昭和、平成、そして令和と移ってもずっと変わらない日本人の心の真理として、この言葉を贈りたい。今後みなさんが歩んでいく社会は、決して易しい道のりではないかもしれません。しかし本校で培った経験をもとに、ぜひとも「勇~勇敢さと忍耐力」を錬磨しながら「正しい道」を進んでほしいと思います。