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校長室

2021.12.17

令和3年度2学期終業式 学校長講話「金」

みなさん、こんにちは。今日で令和3年度2学期を終業します。振り返ってみると昨年に引き続き今年も新型コロナウイルスの影響で、本当に大変な1年でした。しかし夏前からワクチン接種が進んだため徐々に落ち着きを取り戻し、10月には緊急事態宣言も解除されて、少しずつ以前のような日常の生活が戻ってきています。

しかし残念ながら修学旅行は中止、近校祭(体育祭・文化祭)も規模を縮小しての実施となりました。この2年近くはそれまでとは違った不自由な学校生活を強いられて、楽しい思い出作りがなかなか出来なかったと思います。でもみなさんには、近大東広島で一緒に頑張ってきたクラスの仲間、先生方そして先輩や後輩たちがいます。文化部でも先日クッキーの頒布を行ったり、これからダンス、吹奏楽の発表会を開催してくれます。また生徒会も学校生活をより良くするために色々な案を考えてくれています。高3生も、ぜひこれから立ち向かう共通テストや入試にも、平常心をもって取り組んでください。今まで頑張った自分を信じて、この冬休みを乗り切っていきましょう。

さて、そんなこの一年の世相を表す「今年の漢字」には「金」が選ばれました。今年は東京オリンピック・パラリンピックでのゴールド・メダル・ラッシュ、メジャーリーグの大谷翔平選手やプロゴルファーの松山英樹選手の活躍、藤井聡太棋士の四冠達成など、たくさんの「金字塔」が打ち建てられましたね。

みなさんは、この1年を振り返ってみて、自分の身の回りでこの「金」という文字を思い浮かべるような出来事はありましたか。自分に対して「金」メダルを贈りたいような経験でも構いません。例えば、クラブの試合で頑張ったとか、コンクールで賞を貰ったという人もいるでしょう。自分に対してでなくても、身近な誰かが凄いことを成し遂げたとか、凄く頑張っている人を応援したなど、きっと何か心に残ることがあったと思います。

私も今月に入って、とても心に響く「金色」の経験をしたので少しお伝えしたいと思います。私は音楽が大好きなので、家や車の中で聴くだけでなく、様々なコンサートやライブに足を運び、アーティストの生の音を体感するようにしています。中学2年生の時に初めてQueenというロックバンドのライブを経験して以来、ロックからジャズ、クラシックなど様々なジャンルの生演奏を聴いてきました。しかし昨年からはコロナの影響で外国からのアーチストが来日出来ません。(2年前の12月はまだコロナの影響もなく、KISSというアメリカのバンドのライブに行けたのですが。)

そんな中、先日あるイギリスのロックバンドが来日し、検疫期間を経て11月末から日本公演をスタートしてくれたのです。ところが同時に、コロナウイルスの変異種(オミクロン株)が出てきて、また日本は鎖国状態に!もし来日がもう少し遅ければ、彼らのコンサートも実現出来ませんでした。しかしその後も感染症対策をしっかり行いながら、名古屋、大阪、東京と演奏活動を続け、たくさんの聴衆に音楽が持つ大きな力で、逆境に負けない勇気や明るい希望を与えてくれたのです。私もその恩恵に与ったうちの一人です。

実は私は大学生(20歳)の時にもこのバンドのライブを経験しています。私が20歳ということは、40年も前のことです。今回もその時と同じメンバーが2名(7人中)来日しています。そして彼らが今回もリーダーシップをとり、本当にカッコいい演奏を繰り広げました。この2人は何歳だと思いますか?なんと75歳!他のメンバーも私と同世代か上の人ばかりです。みなさんのおじいちゃん世代の人達が、何百人、何千人という人たちの前で2時間以上にわたりギターやベース、エレピやシンセ、ドラム(トリプル・ドラム!)やサックスでロックを熱唱してくれたのです!

https://www.creativeman.co.jp/artist/2021/01kingcrimson/

そのエネルギーは先月、芸術鑑賞で聴いた津軽三味線ユニット「あべや」さんたちのような若者の元気な演奏に全く勝るとも劣らない、もの凄いパワーとテクニックでした。どこからこんな力が出ているのだろう?と思う程、パワフルで完璧な演奏を聴きながら、私は感動とともに前向きなやる気とポジティブ・パワーを貰うことが出来たと思います。このバンドの名前はKing Crimsonといいます。

https://www.creativeman.co.jp/artist/2021/01kingcrimson/

この経験から私がみなさんに伝えたいことの一つは、まず今現在、みなさんが素晴らしい経験をし、感動したことは、10年、20年、30年、そして40年経ってもしっかりとみなさんの記憶に刻まれている、そしてその感動という前向きなパワーは、これからみなさんがこれから通り抜けねばならない辛い問題やしんどい事柄に立ち向かうエネルギーになるということです。

もう一つは、75歳になっても現役でハイレベルな演奏活動を続けている人たちの話を聞いて、「自分はどうなのか」と自問自答してほしいと思うのです。私はまだ60歳になったばかりなので、少なくともあと15年は少々のことに挫けることなく頑張っていこうという元気が貰えました。彼らも長い活動の中、数々の失敗を繰り返しながら今日があると言います。75歳でバンドのリーダー、ギタリストのRobert Frippは2年前、結成50周年(!)インタビューで「ミスは気にならない、むしろ好き。」という発言をしています。ぜひ見習いたい姿勢ですね。

このように今年は、スポーツの分野でも音楽などの文化面でも、コロナ禍という逆境に立ち向かって頑張った人たちから、たくさんのエネルギーを貰うことが出来ました。みなさんもこの1年を振り返ったとき、もしかしたら辛かったりしんどいことがあったかもしれません。しかしそんな経験もポジティブに考えて頑張れば、きっと次へのステップに、そして将来の素晴らしい経験へと繋がっていくと思います。

さあ、2022年(令和4年)という新年を迎えるにあたり、みなさんはこの冬休み中にどんな「金色」の経験ができるでしょうか。来年がみなさんにとって素晴らしい1年になりますように!
また1月6日の始業式でお会いしましょう。

Have a Great Winter Vacation and Aim for a Higher Level !                       

投稿者 : devadmin

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