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校長室

2022.01.06

令和3年度3学期始業式 学校長講話「読んで観る」「観て読む」

明けまして、おめでとうございます。
今日から令和3年度3学期を始業します。そして令和4年を迎えるにあたり、新年のご挨拶をいたします。約2週間の冬休みが終わり、3学期が始まりました。みなさんの年末、年始の生活はいかがでしたか。ご家族とゆっくり過ごすことができましたか。昨年の秋からは新型コロナウィルスの状況が少し落ち着き、以前の日常を取り戻してきましたが、残念ながらまたひと月ほど前から変異種が流行し始めました。今年もwithコロナの生活を続けていく必要がありそうです。

しかし今日は3学期始めの日です。前向きな気持ちで新年の目標を立てるには絶好の機会です。私自身も昨年に引き続き様々なメディアから正確な情報を得ながら、世界情勢にも目を配りつつ日本文化の良さを改めて実感できるように、ICTを駆使して様々な体験していこうと考えています。みなさんはもう今年の目標を決めましたか。

また今年の干支は「寅」です。昨年は丑年だったので、Take the bull by the horns(勇敢に困難に立ち向かう)という英語を紹介しましたが、トラにまつわる表現もあります。例えばGet off the tiger’s backはどういう意味か分かりますか。「トラの背中から降りる」ところから「困難な状況から脱する」となります。

高校3年生のみなさんも、目前に迫る大学入学共通テスト等に向けて、この冬休み期間も休む間もなく勉強に励んできましたね。一刻も早くget off the tiger’s backしたいのではないかと思います。今が精神的にも一番しんどくて辛い時期ですが、みなさんの努力は必ず報われる時が来ます。今まで自分が行った学習は決して裏切りません。自分を信じて本番の試験に臨んでください。キーワードはいつもの「平常心:Keep my cool」ですよ!

さて今日は、私がこの冬休みに感じたことをお話したいと思います。私は学生時代にアメリカの小説を研究していたこともあり、今でも時々、英米の短編や長編小説を読んでいます。SFや推理ものが好きでレイ・ブラッドベリは本当によく読みました。最近はやはり人気のスティーブン・キングが多いです。またフィリップ・K・ディックアーサー・C・クラークトム・クランシージェフリー・ディーヴァーらの人気作家の作品は映像化されることも多く、原作と見比べるのも楽しいと思います。(当時私はE・A・ポースティーブン・クレインE・ヘミングウェイらの短編小説を研究していたので、いつかはあんな切れ味のある短編小説を書きたいなぁと思っていました。)

先日、以前読んでいたキングの「ミスター・メルセデス」という探偵小説がアメリカでTVシリーズ化されているのを知り、冬休みにゆっくりと鑑賞しようと楽しみにしていました。しかし何話か見た後であまりにも自分が描いていた映像と違うので、とうとう途中で観なくなってしまいました。特に何が悪い(例えば話の筋が違っている)という訳ではありません。でも何か違うのです。

このような体験はよくある話です。そこでみなさんに質問です。みなさんは、「読んでから観る派」ですか、それとも「観てから読む派」ですか?本をあまり読まないという人も、「進撃の巨人」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」などのように漫画をアニメにしたり、「るろうに剣心」「キングダム」や「銀魂」のようにさらに実写化しているものも多いので、漫画本を読んでから映画を見た、またはその逆という人もいるでしょう。

私は基本的には「読んでから観る派」なのですが、先ほど挙げたタイトルの漫画本は実は1冊も読んだことがありません。すべて今流行りのサブスク、つまり映像で一気に観ました。「進撃の巨人」もシーズン1から7まで観ましたが、「人を丸のみにして食べる」えげつない描写に不快感を感じつつも7シーズン分を一気に観てしまう程面白い内容でした。でも後のシーズンになるにつれ絵が変わっていくので、漫画を知っている息子に聞くと「後のシーズンの方が原作の絵に近いよ」と教えてくれました。でも私は初めの頃の絵の方が何かしっくりくると感じました。

ではどちらが正しいのでしょうか。個人的には、原作を映像化するのですから、読んでから観る方がいいと思っています。しかし「進撃の巨人」の私の体験談のようにまず映像から入っても、原作を書いた作者の世界観や濃い内容は伝わってくるので、逆の体験もありだと思います。つまりはどちらもOKなのではないでしょうか。大切なことは、作品に触れる、体験するということです。(先ほどの私の「ミスター・メルセデス」の例は極端ですが、これから頑張って続きを観ようと考えています。きっと新たな発見や映像ならではの楽しみもあると期待して。)

このエピソードで私がみなさんに伝えたいことは、ものの見方には多角的な要素があるということです。どちらから見るか、その方向によって見え方は違ってくるかもしれません。しかし実際に経験すること自体が重要なのです。どのような事柄からでも構いません。好奇心を持って体験してみましょう。そして友人や家族とそのことについて話し合ってください。きっと自分とはまた違った考え方や価値観に出会えると思います。その経験がまた自分の世界をさらに広げてくれるのです。

もう一つ、伝えたいことがあります。それは小説にしても漫画や映像作品にしても作者やそれを制作するスタッフの人たちがいるということ。みなさんが大好きな声優さんたちもその仲間です。また私の友人には「鬼滅の刃」は見ていないけど主題歌は歌っているよ、という人がいました。絵だけではなく音楽も映像には欠かせない要素ですね。(今年BLUE GIANTという音楽漫画が映像化されるニュースもあり、今まで「絵」だった「音」がどうなるのか楽しみです!)

私は長年英語の教員をしているのでよく海外に行ったり、留学生たちと話す機会も多くあります。先日、本校で実施したエンパワーメント・プログラムでもカナダやインド、エジプトやナイジェリア、インドネシアなど様々な国から来た留学生たちと話しました。東大や京大、神戸大などで学んでいるエリートたちです。彼らと色んな話していると、改めて日本の良さを実感することが出来ました。中には私より日本の歴史に精通している留学生もいて、本当に驚きました。

そんな経験からも私は、「漫画」や「アニメ」は日本を代表する、世界に誇る日本の伝統芸術だと確信しています。みなさんもこれらの作品を体験したら、まわりの人たちとしっかり話をして、色々な世代の人たちや後世に、ぜひともその素晴らしさや多面性を伝えていってほしいと思います。

さあ、3学期は、高校3年生だけではなく、中学1年生から高校2年生のみなさんにとっても、年度のまとめ、集大成の学期になります。Not to have a tiger by the tail(苦境に立たされない)ように頑張ってください。また1月はみなさんにとってもスタートの月ですが、本校としてもみなさんの後輩を迎えるための入学試験があります。オミクロンにも負けないように、普段の生活からしっかりと感染予防の対策をし、後悔の残らない生活を行って次へのステップとしていきましょう。

Aim for a Higher Level! 

投稿者 : devadmin

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