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校長室

2022.04.07

令和4年度 1学期始業式 学校長講話 Peace is…

みなさん、おはようございます。今日から令和4年度が始まります。
昨日は新入生を迎える入学式を行いました。今年も感染症対策のためご来賓の方はお呼びせず、PTAの会長さんと役員代表の方々そして保護者のみなさんだけにお越しいただき、工学部の広い体育館で実施をしました。在校生の代表として、高・中の生徒会長2人が新入生に向けての歓迎の言葉を話し、そして新入生からも高校・中学それぞれの代表2人が協力し、新入生の宣誓をしてくれました。本校のInstagramでライブ配信をしていたので、見た人もいるかもしれません。今年度は新たに中学生156名、高校生240名を迎え、中学(425名)高校(696名)あわせて1121名で新学期をスタートすることになります。そういうわけで、この体育館に1100人を超える生徒が入るとかなり窮屈になってしまうため、今回は中学校と高校を時間差で分けて行うことにしました。

さて今年度も私はみなさんと一緒に、様々な世界情勢やSDGsなどの課題を少しでも掘り下げて考えていくようにしていきたいと思います。そんな中、今年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻し、侵略戦争が始まりました。戦闘は今も続いています。マスメディアのニュースやインターネットでは悲惨な現状が毎日報道されています。

広島県に住む私たちは、第2次世界大戦の惨劇を二度と繰り返さないように、平和に向けての取り組みを行ってきていただけに、大変残念な気持ちでいっぱいです。しかし悲惨なウクライナの様子を見るたびに、地球の反対側に位置するウクライナに対して自分は何が出来るのだろうか、という気持ちになっている人も多いのではないでしょうか。

募金をしたり物資を送ったりという物理的な支援ももちろん必要です。しかし車で走れば届けられるというわけにはいきません。そこは政府や国際機関に任せるとして、今日はみなさんの平和に対する気持ちの持ち方を改めて深めてもらいたいと思います。そこでまずみなさんにKing CrimsonのPeaceという曲の歌詞の一部を紹介します。1970年に作られたとても美しい曲です。

Peace is a stream from the heart of a man   
Peace is a man whose breadth is the dawn
Peace is a dawn on a day without end
Peace is the end, like death, of the war

平和、それは人の心からの流れ
平和、それは夜明けの広がりを持つ人
平和、それは終わりのない日の夜明け
平和、それは戦争の永遠の終わり
(対訳:橋本晃一)

いかがですか。この詩を書いたピート・シンフィールドは50年も前にきっと美しい夜明けを見ながら戦争(当時のベトナム戦争)のない世界を祈ったのでしょう。それが今、半世紀を超えて、こうしてみなさんの平和への気持ちに寄り添うことができました。

みなさんもまずは気持ちを穏やかにして自分が今できること、例えば歴史や経済を学び、将来の平和な国際社会を描いてみるとか、数学や理科の分野を勉強して、資源の取り合いをせずに済む世の中を作る研究に携わる、など将来自分がすべきことを考えてこれからの学校生活を送ってほしいと思います。みなさんが今出来ることは、今実現することではなく、将来の糧となるもの、すなわち未来の平和をもたらしてくれるものなのです。

また今日は高校生のみなさんには、特に戦争の悲惨さを描いた映画を紹介しておこうと思います。それは近年私が最も感銘を受けた作品の1つで、サム・メンデス監督の「1917 命をかけた伝令」(2年前に上映されアカデミー賞でも撮影賞など3部門で受賞)です。この作品はタイトルの通り第1次世界大戦中の2人のイギリス兵を描いた名作です。カット割りの一切ない映像も本当に凄いのですが、ストーリーが素晴らしく、私はこの映画を観終わった後にみなさんが、きっと戦争のもたらす悲劇について、何かを感じてくれるのではないか、そして音楽や映画といった芸術作品にも、人を動かす大きな力があるということを実感してくれるのではないか、と思っています。

また映画と言えば、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が第94回米アカデミー賞「国際長編映画賞」に輝きましたね。映画館では8月から上映されていますし、サブスクやDVDも出ているので、観たという人もいるでしょう。私は劇場でじっくり鑑賞しましたが、腰を据えて観ることのできる落ち着いた作品で、3時間という長さを感じさせませんでした。内容は少し大人向けで、好き嫌いの評価はかなり分かれると思いますが、私は、自分の内面や想いをどう表現できるのか、いろいろな角度から考察できるいい映画だと思いました。広島のなじみの場所やとても美しい映像も楽しむことが出来ます。またみなさんが将来、自分を振り返って現実的に職業を考えるときに、参考になるかもしれません。(個人的には赤いSAAB900turboがカッコよすぎて見惚れてしまいました。)

今日は少し抽象的な話もありましたが、ぜひ先生方や友だちと平和について、今出来ることなどを話題にして考えを深めてください。もし分かりにくい点などがあれば、また今年度も、校長室のOpen Roomは継続しますので、ぜひ覗きにきてください。月曜日と木曜日のお昼休みです!

さあ、生徒のみなさん、新年度が始まります。何事に対しても知的好奇心を持ち、多様な考え方に耳を傾けてほしいと思います。みなさん一人ひとりが持つ輝く個性を昨年よりもさらに高めてほしいという願いを込め、コロナウィルスに負けないように、この言葉もいよいよ4年目に突入です!
Aim for a Higher Level²!!          

投稿者 : devadmin

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