2023.02.01
令和4年度 3学期全校朝礼 “Entrepreneurship”
今日は高校3年生が、在校生のみなさんと一緒に登校する最後の日です。もちろん、明日からも国公立大学の二次試験対策や近畿大学の入学前講座で登校する高3生はたくさんいますが、中学生も含めて全体で一緒に集まる機会はもうありません。ちょっと寂しい気持ちになりますが、高3のみなさんはこれから事前学習の課題提出があったり、まだまだ厳しい入試が続きます。そこで、みなさんへ再度、アドバイスです。
*とにかく「落ち着いて!」普段の実力が発揮できるように「平常心!」を心がけてください。 *ぜひともこれまでの自分の努力を信じて頑張ってほしいと思います。
さて、そんな高3生と一緒の最後の全校朝礼ですが、「アントレプレナー:Entrepreneur」についてお話したいと思います。みなさんはこの「アントレプレナー」という言葉を知っていますか?最近はメディアで取り上げられたり、新聞記事等でもカタカナで使われているので、聞いたことがある人も多いと思います。先日もある雑誌の表紙で取り上げられていたのを見ました。
英語ではentrepreneurと書きますが、語源はフランス語ですね。日本語では「起業家」「企業家」という意味で使われています。英和辞典には「イノベーションの担い手として、創造性と決断力をもって事業を創始し運営する個人事業家」とか「事業家として十分に能力を発揮できる人材」とあります。
私がこの言葉と出会ったのは、もう7年ほど前です。まだ当時、日本ではあまり馴染みのない言葉でしたが、近大附属の大阪校でエンパワーメント・プログラムを実施した時のことです。アメリカからの留学生(グループリーダー)の中に「卒業したらアントレプレナーとして教育サポートビジネスを起こすんだ!」と宣言したUC(カリフォルニア大学)の学生(Rudy J. Barroso)がいました。私は彼といろいろ話す中でこの「アントレプレナー」という言葉を覚えたのです。その後、彼がアメリカに帰ってからも、何度かメールでやり取りをしていました。
その1年後に、私がUCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)に、大阪と本校(東広島校)の生徒を引率して研修旅行に行ったとき、Rudyはわざわざ住んでいたロスアンゼルスからバークレー(サンフランシスコの近郊)まで車で600キロ以上走って(7時間もかけて)私を尋ねてくれたのです。生徒たちが研修を受けている間に、私は彼とまた色々と話をしました。
この1年でRudyは実際に起業して学生を支援するという仕事を行っていました。宣言したとおり社会人として頑張っている彼の成長した姿に私は感動しましたが、驚いたことに彼は次のステップを私に話してくれたのです。彼は、アントレプレナーを育てる会社(組織)を作りたいので、来年もう一度、南米コロンビアの大学に入り直して勉強するというのです。つまり彼は「アントレプレナーを養成するアントレプレナー」になるつもりなのでした。
「そこで」と彼は私に言いました「教育について経験の深いMr. Koichi(私のことです)に、アドバイスを貰いたい。あなたは私のmentorだから。」その時、彼が私のことをお世辞でもmentor(師匠)と呼んでくれてとても嬉しかったことを覚えています。その後、彼とは時間が経つのも忘れ、教育について様々な話をしました。最近はコロナ禍であまり連絡を取り合っていませんが、きっといい指導者としてスタートアップしていると思います。
このエピソードから私がみなさんに伝えたいことは、始業式でもお話しした「チャレンジ精神~Nothing Ventured, Nothing Gained!」なのです。「アントレプレナー」という言葉には、実は「危険を顧みず」とか「リスクを覚悟で」チャレンジする人というニュアンスが含まれています。Rudyは勇気を持ってエンパワーメント・プログラムのグループリーダーに応募し、初めて日本に来て「外国人に対する教育」という仕事のすばらしさを実感しました。そしてアメリカで起業して外国からの学生(アメリカ以外の国という意味です)を支援するという夢を実現したのですが、さらにコロンビアに移住し再度大学で学んだ後、リスクを覚悟でメキシコ、ブラジル、チリ、コスタリカなどの国からの学生が起業するのをサポートする企業を作るという高みを目指したのです。
彼は「もし日本の学生がEntrepreneurship Programに興味があるならUCリバーサイド校に来てほしい。いい教授が沢山いるよ。支援するから連絡して!」とも話してくれました。今から6年前の話です。日本では一度大学を卒業して就職したら、またそこを辞めてさらに勉強を積み重ねて次のステップに進もう、と考える人はまだまだ少ないと思います。しかしこれからのグローバル社会を生きていくみなさんには、ぜひこのRudyの生き方と「アントレプレナーシップ(起業家精神)」について考えてもらいたいのです。
今みなさんは自分の将来について、夢や考えを持っていますか?Rudyは様々な体験から自分の夢を持ち、きっと少々の危険は顧みずにチャレンジして、失敗を恐れずに夢を追い続けて頑張ったのだと思います。目標があれば、少しくらいの危険や苦労も乗り越えることが出来る、そんな勇気を持たせてくれた彼のエピソードとEntrepreneurshipを今日のテーマとして、高3の受験生だけでなく、これから受験や就職に臨むすべてのみなさんに贈りたいと思います。
さあ、明日からは2月です。節分や立春も近いですが、まだ寒い日も続きます。健康管理をしっかりと行い、規則正しく元気に生活しながら、在校生は次年度のゼロ学期だという気持ちで取り組んでいきましょう。
Aim for a Higher Level!!