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校長室

2023.11.01

令和5年度11月全校朝礼 学校長講話 “Experience Tells”

みなさん,おはようございます。11月になり朝晩が冷え込むようになりました。体調管理が難しい時期ですが、風邪など引かないようにしましょう。高校3年生は推薦試験など、いよいよ入試本番を迎えます。体調を万全にして「平常心」で臨んでください。また昨日は芸術鑑賞で狂言を鑑賞しました。本当に楽しかったですね。11月は芸術、スポーツなどにも積極的に取り組んでいきましょう。さて今月の朝礼では、我が近畿大学について考える時間にします。なぜ毎年11月に振り返りをするか、みなさん、分かっていますよね。

そうです、近畿大学の創立記念日が11月5日だからです。今年は創立98年目になります。1925年(大正14年)に母体となる大阪専門学校が創設され、その後、大阪理工科大学と共に名称を近畿大学としてスタートしました。ですから2年後の2025年には創立100周年を迎えます。

https://100th.kindai.ac.jp/

今日はそんな近畿大学の創設者、世耕弘一先生についてお話しします。高校1年生は4月の宿泊研修で学んだので覚えていると思いますが、ここで少し世耕弘一先生の波乱万丈の人生を、駆け足で振り返ってみましょう。


①経済的理由で旧制中学(現在の高校)への進学を断念 ⇒学びたくても学べなかった(15歳)
②材木商へ丁稚奉公(10年間)⇒難しい取引を次々に解決して職場での評価を上げる
③25歳で上京し、仕事をして学費を稼ぎ、大学へ進学(25歳)
④朝日新聞社へ就職(30歳)
⑤奨学金を貰いドイツへ留学 ⇒ドイツが第1次大戦後の不況から立ち直る様子を学ぶ
⑥帰国後、大学教授を経て政治家へ ⇒39歳で衆議院議員に初当選(この後8回当選)
⑦衆議院議員として、第2次大戦後の貧しい日本の経済を救う
⑧内務政務次官から国務大臣へ ⇒隠退蔵物資の摘発・貧しい国民へ配布
⇒近畿大学の創設「理想の大学作りに心血を注ぐ」
 ・学問が運命を開いてくれた →学びたい者に学ばせたい
 ・すべての日本人が大学教育を受けられる、時代の先駆けとなる大学を目指す
 ・GHQによる入学制限を撤廃し、平等に合格者を出す
 ・シンボルは厳しい自然に耐えて咲く「梅の花」

それでは世耕弘一先生が熱い想いで創設された近畿大学の「建学の精神」は何でしょう?
 「実学教育」と「人格の陶冶(とうや)」です。
そこから「人に 愛される人、信頼される人、尊敬される人 の育成」を教育の目的とし、みなさんの教室にもある校訓が生まれました。世耕弘一先生は、ご存命中にこの校訓を実践するためのヒントをお話しされています。それは「挨拶をきちんとし、身だしなみに気を付け、約束の時間をたがえず、規律・ルールは必ず守る」ということが大切だとおっしゃっています。
そんな世耕弘一先生が朝日新聞に就職したあとドイツに留学をされたのが1923年(大正12年)のことです。日本からベルリンまで海路でなんと45日もかけて、途中船の中で熱病にかかったりされながら大変苦労の末にベルリンに到着しました。そこから1927年までの足掛け5年ドイツで語学や政治・経済の勉強をされました。

つまり、今年は世耕弘一先生がドイツに留学をなさってからちょうど100年目に当たる年なのです。弘一先生は当時のドイツが第一次世界大戦後、極めて厳しいインフレに苦しんでいる状況を実際に経験なさっています。そして帰国後に政治家となり、同じく第二次世界大戦後の飢えと貧困に苦しむ日本の経済を立て直すことが出来たのです。これは弘一先生がドイツに留学したご経験があったからこその偉業だと言えるでしょう。

みなさんも、このお話から、実際に見たり経験することがいかに大切か、ということを考えてみてください。先月、修学旅行に行った高2や中2のみなさん、そして大学見学に行った中3のみなさんは、そうした体験がいかに自分の視野を広げてくれたか、よく分かったと思いますし、昨日の芸術鑑賞でも日本が世界に誇る伝統無形文化遺産である「狂言」をTVやYouTubeのような画面を通してではなく、ホールで、生で鑑賞することで「本物を知る」ことが出来たのではないかと思います。みなさんもぜひとも中学、高校の間に様々なリアル体験を通して、将来の夢や自分のアイデンティティを確立していってください。

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今日は11月5日の創立記念日にちなみ、世耕弘一先生のベルリン留学100周年を記念して「リアルな体験」の大切さについてお話ししました。そんな世耕弘一先生が作詞され、熱い気持ちが込められた近畿大学の校歌を、今日は3番まで聴きたいと思います。附属生としての自信と誇りを持って聴いてください。特に3番には「情けに厚く、正義感に溢れ、ことにあたって闘魂を燃やす」という近大魂が込められています。ぜひこれからも近畿大学の附属生として自覚を持ち、学業や課外活動に励みましょう!

https://www.kindai.ac.jp/about-kindai/overview/koichi-seko/

Aim for a Higher Level!!!

投稿者 : devadmin

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