ブログ

校長室

2025.12.19

令和7年度2学期終業式 学校長講話 人生の転機~Turning Point~

今日で令和7年度2学期を終業します。今学期には、中3と高1のみなさんが7月、8月に参加した大阪万博が、国内外から多くの来場者を集め大成功をおさめて閉会しました。9月には我が近畿大学も、創立100周年の記念行事を万博会場内で盛大に行いました。本校では秋の近校祭・文化祭にたくさんの方々が来場し大いに盛り上がりましたし、10月には中高2年生の修学旅行、11月は芸術鑑賞と様々な行事も無事に実施でき、充実した学校生活が送れましたね。引き続き、学習やクラブ活動を頑張っていきましょう。

そんな行事の中から今日は、先日文化庁の「学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業」の一環として本校にお越しいただき、3日間にわたり演奏会や中学校の授業を行っていただいた演奏家の方々との体験についてお話しようと思います。中学生のみなさんは、すべてのクラスで授業をしてもらったので周知のことですが、高校生は知らない人も多いと思うので、お招きした方々をご紹介しましょう。

バリトン歌手の安田旺司(やすだ おうじ)さんは、わざわざ滋賀県からお越しいただきました。広島からはテノールの中東駿(なかひがし しゅん)さん、そしてピアニストの占部久美子(うらべ くみこ)さんの3名です。いずれも各方面で大活躍されているプロの演奏家です。生徒のみなさんはオペラとかクラシックと聞くと、眠くなるとか、ちょっと退屈なんじゃないかと思う人がいるかもしれませんね。でも今回はそんな心配を吹き飛ばすような、とても楽しく迫力のある凄い内容でした。

まず初日の12月9日は、体育館での演奏会でスタート。本校の音楽の先生・川手先生もソプラノで参加され、安田さんの楽しいトークと共に、シューベルトの魔王やモーツァルトの魔笛、ヴェルディの椿姫などのオペラからの名曲や、皆さんにも馴染みのある曲を計8曲も演奏していただきました。素晴らしいコンサートでしたね。

衣装も素敵で男性は黒の燕尾服、女性はあでやかな赤いロングドレス姿で登場!ステージ中央に置かれたグランドピアノの前や、舞台下に降りて生徒の中に入って歌っていただき、最後には一緒に校歌まで歌うことができました。体育館に響き渡る迫力ある演奏は本当に圧巻でした。中学生のみなさんは、その声量(声の大きさ)と迫力あるピアノ演奏に驚いたのではないでしょうか。

演奏会後の音楽の授業でも、歌うことの楽しさ、歌う時の基本である呼吸法、発声について、さらには歌詞に込められた作詞者の気持ちをいかに歌声に乗せて表現するかなど、具体的にとても楽しくレクチャーしていただきました。私は中3と中2の2クラスしか見ることができませんでしたが、たった1時間の間に、みなさんが授業の最初に歌った時と後半に歌った合唱がすごく違っていて、大きく生き生きとした歌声になっているのを聴いて、本当にビックリしました!

そして授業の終わりには、各クラスで希望の1曲をまた4人のみなさん(安田さんBar、中東さんTen、占部さんPf、そして川手先生Sop)に披露していただくという大サービスもあり、体育館の豊かな響きとはまた違って、音楽室で身近に感じるド迫力の歌声を堪能することができました。安田さん、中東さん、占部さんそして川手先生、計12時間ものコンサートと体験授業の3日間、本当にありがとうございました!

そんな凄い歌声とめちゃくちゃ楽しい授業をしてくださった安田さんですが、プロフィールにもあるように、中高生時代にはバンド演奏にハマり、勉強そっちのけのギター少年、ロック三昧の日々だったそうです。そんな安田さんがオペラ歌手になったのには、どんなキッカケがあったのか、私はとても興味があったので直接ご本人に尋ねてみました。

すると転機になったのは、大学受験だったとのこと。3才から習っていたピアノで音大を受験しようとするも、それまでずっとギター&ロック三昧だったのでうまくいかず挫折。そこで自分の声を生かそうと「声楽」という道で進学されました。安田さんは「男性の声楽部門は誰でも合格するんですよ~!」と謙遜されていましたが、そんな訳はない!(笑)。それから大学の途中でイタリアへ渡り10年以上も本格的に勉強されたそうです。

この話を聞いて私は、安田さんにとっての人生の転機 “Turning Point” は、大好きだったロックではなく、声楽という分野で頑張ろうと決めたその瞬間ではないかと思います。その後にイタリアへ行く決心をされたことも、第二の転機といえるでしょう。みなさんはどう思いますか。今日私がこの話をしたのは、私たちには無限の可能性があるということを伝えたいからです。そしてみなさんの人生の転機 “Turning Point” はいつ、どこで、どんなふうに訪れるでしょうか。

それは安田さんのように、もしかしたら大学受験で第1志望に失敗したときに来るかもしれません。でもそれをネガティブに捉えるのではなく、他の可能性を追求してみる勇気と頑張りがあれば、きっとプラスの方向に進んでいけるでしょう。思えば私自身も大学入試で失敗し、あまり乗り気でなく進学した大学で英語科の教職課程を取った時が最初の転機、また4年生の就職試験でも第1志望の大阪校がダメで、福岡校に配属された時に次の大きなTurning Pointがあったなぁと実感しています。福岡校で学べたことや培った人間関係がなければ、今の私はなかったとつくづく思います。

さて今日は、3学期末に実施を予定しているGSP(グローバル・スタディーズ・プログラム)についても触れたいと思います。例年は12月の終業式後に行っていましたが、今年度からは7月にオーストラリアへの海外研修が移動したので、GSPも3月に実施します。今日は去年GSPに参加した生徒に来てもらっています。高校3年3組 山下実優(やました みゆう)さんと、1年1組 高橋朋生(たかはし ともき)くんです。 よろしくお願いします!

Qまずは、このプログラムに参加してみようかなと考えたきっかけは?
(山下)前の年に参加した友達から「すごく楽しかった」と聞き、興味をもったことです。また、将来国際系の大学への進学を考えており、英語力を高めたいと思い参加しました。
(髙橋)英語のインプットだけでなく、外国人の方々との交流を通じて、アウトプットの体験をしたいと思ったからです。

Qこのプログラムはどういう内容ですか?
(山下)5日間にわたり、SDGsや多様性などの国際的なテーマについてディスカッションやアクティビティを通して学ぶプログラムです。少人数のグループで外国人大学生と英語で話し合い、最終日には学んだことを英語で発表し合います。

Q本校生徒のグループ構成と、グループリーダーについて教えてください。
(山下)生徒は中学生と高校生が一緒になったグループで活動します。1つのグループに中学生3人、高校生3人ほどで、そこに外国人大学生のグループリーダーが1人加わります。グループリーダーは交代していくため、いろいろな人と関わりながら楽しく学ぶことができます。

Qカリキュラムについてもう少し詳細に教えてください。印象に残っている内容など、覚えていることがありますか。
(高橋)ポジティブな考え方について学んだことです。プレゼンテーション等の活動の前後に、We can do it!やI can do it!、 we did it!と全体で叫ぶことで、失敗しても大丈夫なんだと楽に考えることができました。

Qランチタイムや休憩中はどうやって過ごしましたか?
(高橋)自分や他のグループリーダーと彼らの国について聞いたり、日本のことを話したりしました。

Qこのプログラムへの参加する前と後では、どういう変化がありましたか。
(山下)参加前は英語を間違えるのが恥ずかしく話すことに消極的でしたが、プログラムを通して、間違ってもいいから話してみようと思えるようになりました。グループリーダーと話すうちに英語が通じる達成感を感じ、英語を話すことへの抵抗がなくなりました。
(髙橋)はじめは人の目を見て会話やプレゼンをすることが苦手だったのですが、
活動を通じて、自信がつき、自分を変えることができました。また、英語を話すうえでは、間違いを恐れず、伝えようとすることが大切なのだと思うようになりました。

Q昨年は12月の開催でしたが、山下さんはその後、他に参加した活動がありますか。
(山下)国際問題や国際協力に興味を持ち、英語運用能力をより高めたいと考え、2泊3日のJICA高校生国際協力体験プログラムに参加しました。また、東広島市国際交流ボランティアとして、外国人市民の子どもたちの日本語学習をサポートする活動にも取り組みました。
 
なるほど~!二人ともとても良い経験ができましたね!今年度のGSPは3月16日から5日間、実施されます。まだ少し空きがあるので、興味を持った生徒のみなさんは、ぜひこの機会に勇気をもって参加してください。みなさんも実優さんや朋生くんのように、きっと素晴らしい体験が出来ると思いますよ!改めて山下実優さん、高橋朋生くん、有難うございました! 拍手!

今回は、素晴らしい演奏家のみなさんとの授業が如何に貴重な経験であったかということ。そしてバリトン歌手の安田旺司さんの体験談から、ネガティブなことでも勇気をもって自分の可能性を広げる転機 “Turning Point” にしていこう!という二つのポイントをお話ししました。またGSPについては3月の実施がとても楽しみですね!

今、受験勉強でとても辛い思いをしながら頑張っている高3生のみなさんは、将来のことを前向きに考えて、平常心で受験という難局を乗り切ってください!また他の学年の皆さんも、何かとしんどいときがあってもポジティブ思考でいきましょう。もしかすると、それはあなただけの “Turning Point” になるかもしれません!

さあ、2026年(令和8年)という新年を迎えるにあたり、みなさんはこの冬休み中にどんな生活が送れるでしょうか、そしてどんな転機が訪れるでしょうか。楽しみですね!来年がみなさんにとって素晴らしい年になりますように!また1月の始業式で会えることを楽しみにしています。

投稿者 : devadmin

|

校長室