ブログ

お知らせ

2021.02.28

令和2年度 卒業証書授与式 学校長式辞「贈ることば」

今年の冬は例年になく寒い日が続きましたが、校庭の梅の花も、ようやくその可憐で品格のある白や赤の花を少しずつ咲かせ始めています。この今日の良き日に、保護者の皆様のご臨席をいただき、こうして無事に卒業式が挙行できますことを心から感謝申し上げるとともに、本校教職員を代表して厚くお礼申し上げます。

改めて第二十三期卒業生のみなさん、ご卒業、おめでとうございます。今、みなさんに、卒業証書を授与いたしました。この卒業証書にはみなさんが友人たちや先生方と過ごした近校での月日がぎゅっと凝縮されています。この三年間で着実に成長した自分を実感して欲しいと思います。

さて近畿大学の校花「梅の花」は、まだ寒い時期から少しずつ咲き始め、様々な色合いで自己主張しながら見事に開花していきます。私はそんな霜雪に耐えて咲く梅の花に、卒業していく百九十六名のみなさんの個性を映し見ています。みなさんは誰もがそれぞれ違った素晴らしい才能と無限の可能性を持っているのです。

しかしこの一年を振り返ると、新型コロナウイルスの影響で休校になったり、学校行事が中止になったり、新しい大学入学試験制度が導入されたりと、みなさんにとって様々な苦しかったことや不安、辛い思い出が蘇ってくるかもしれません。しかしこうしてみなさん一人ひとりが厳しい状況を乗り越えて頑張った成果を胸に、卒業の日を迎えられるのは本当に幸せなことだと思います。

ご卒業に際して、私はみなさんに二つのことばを贈りたいと思います。ひとつ目は “Courage”(勇気)です。みなさんは明治から大正、昭和に至る激動の時代を駆け抜けた歴史上の人物、新渡戸稲造先生をご存じですね。彼が明治三十二年(1899年)に日本の精神文化や道徳教育のあり方を海外に紹介するために全文を英語で書いた “Bushido” ですが、その内容は百二十年経った今もまさにその副題通り “The Soul of Japan” といえる内容です。
 
新渡戸先生はこの “Bushido~Chapter 4” の中で、孔子の「論語」を元に “Courage is doing what is right.” 「勇気とは正しいことをすることである。」と唱えています。私は本校を卒業していくみなさんへ、元号が明治から大正、昭和、平成、そして令和と移ってもずっと変わらない日本人の心の真理として、この言葉を贈りたい。今後みなさんが歩んでいく社会は、決して易しい道のりではないかもしれません。しかし本校で培った経験をもとに、ぜひとも「勇~勇敢さと忍耐力」を錬磨しながら「正しい道」を進んでほしいと思います。

もうひとつのことばは、フランスのノーベル賞作家アンドレ・ジッド(Andre Gide)の名言です。主語を少しもじってみました。これは私の座右の銘でもあります。

You cannot discover new oceans unless you have the courage to lose sight of the shore.
「陸地を見失う勇気を持たずに、新しい大海を発見することはできない。」

ここでもcourageが出てきますが、特に説明する必要はないと思います。ぜひみなさんがこれから歩む人生においても、失敗を恐れず、何事に対しても勇気を持ってチャレンジしてください。

終わりになりますが、改めまして保護者の皆様にお祝いとお礼を申し上げます。お子様のご卒業、本当におめでとうございます。今日の日を迎えられ、お喜びもひとしおでしょう。しかし特にこの一年はコロナ禍でのご心配も多かったこととお察しいたします。そんな中でも本校の教育にお力添えを賜りましたことを、本当に感謝申し上げます。これからは同窓生の保護者、PTAのOBというお立場で、引き続き本校の発展を温かく見守って頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

さあ、卒業生のみなさん、今日は新しいステージへの旅立ちの日です。近畿大学の学園章は梅の花びらをモチーフにしていますが、左上の一部がやや離れているのは、未来志向に基づく内面の未完を表し、完成をめざす姿を象徴しています。この学園章に象徴される梅の花のような高い品格と個性、未来に向かう自信と誇りそして勇気を持って、校訓にある「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人になる」ように努力を続けてくれることを期待しています。みなさんの将来に幸多きことを祈念して、贈る言葉といたします。

Aim for a Higher Level!
     
令和三年二月二十八日
近畿大学附属 広島高等学校 東広島校
校長 橋本 晃一

投稿者 : devadmin

|

お知らせ